2025.10.28

この文章は、いつも一緒に挑戦してくれる「ミンナ」、支えてくださるご家族・支援者の方々、そして私たちの活動に関心を寄せてくださる企業・地域の皆さまに向けて書いています。
伝えたいのは――「挑戦の場が人を変える。その場づくりをこれからも広げたい」ということです。

7月の「走る」、8月の「泳ぐ」を経て、9月、私たちは前橋トライアスロンフェスタに出場しました。本番は想定外の連続でしたが、ミンナは迷いながらも自分の足で、自分のペースで前に進み続けました。
スイムではコースを外れそうになったり途中で足をついたりする場面もありましたが、全員が「前へ」を進み続けました。
バイクでは疲労がピークに達して動けなくなる場面もありましたが、仲間やスタッフ、会場の「がんばれ」「あと少し」の声に応え、 再びこぎ出してランへ。

最後のランは明らかに疲労のピークで、歩幅が縮まり、何度も立ち止まりそうになる。それでも、ゴール方向から届く「あと少し」「そのまま」の声に背中を押されるように、もう一度走り直す。―― その積み重ねの先に笑顔のフィニッシュがありました。
小さな再スタートの積み重ねがゲートへつながり、テープの先にあったのは、やり切った人だけの「やり切れた」という手応えが、表情のすべてに出ていました。
レース前、私は「途中で止まるのではないか」「支援が過不足にならないか」と不安を抱えていました。
しかし現場では、ミンナが自分でペースを整え、手順を確認し、再開を選び続け、最終的に全員がゴールするという、わたしの想像を超える成果を出しました。
この時に気づきを得ました。
私の「心配」という主観的な想像を起点に介入を増やすほど、挑戦の機会は減り、成長の幅も縮むということ。必要なのは先回りの制限ではなく、挑戦できる設計と最小限の安全網です。
・ミンナが力を発揮できる「挑戦の舞台」
・周囲が信じて支える姿勢
この二つが揃えば、ミンナの挑戦は前に進み、できることは着実に増えていく――そう実感しました。
私が掲げる「障がいという言葉と概念をなくす」という想いは、レッテルではなく行動と成果で評価される社会をつくることです。
そう強く意識して活動してきたはずなのに、気づけば私自身もどこかで「障がい」という枠に寄りかかっていました。今回の挑戦は、その思い込みを外し、目の前の行動と成果だけを見るほうへ舵を切り直す一歩でした。
これからも、ミンナには「挑戦 → 成功体験 → 自信」の循環を、周囲には「信じる → 応援 → 次の挑戦後押し」の循環を広げていきます。

この機会は、CAFの皆さまの温かいサポートがあって実現しました。また、会場で声を届けてくださった皆さま、準備・運営に関わってくださった方々に、心から感謝します。
ミンナの挑戦は続きます。
大切なのは、完璧にこなすことではなく、自分の一歩を更新し続けること。私たちは、その一歩を生み出す舞台づくりを、これからも責任を持って進めていきます。
ミンナのミカタHD 代表取締役
兼子 紘子
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